カテゴリー「15 Oh!アヅマ/便利屋みみちゃん」の記事

はじめに

(2006.11.4.付記:)ぶんか社から単行本『便利屋みみちゃん①』が発売されたので、このカテゴリにてその内容を紹介させて頂くことにしました。先に『Oh!アヅマ』の収録作品について記し、それに引き続き『便利屋みみちゃん』の作文をのせてゆこうと思っています。)
000omote ぶんか社からは吾妻マンガの単行本が過去にもいくつか出ているが、そのなかの1つが『Oh!アヅマ』(画像は表紙と裏表紙)で、これは里程標みたいな位置づけができる書籍かも知れない。というのは、表紙のコシオビにも文言があるとおり新作収録図書としては(1985年発行の『ときめきアリス』などから起算すれば)約10年ぶり(!)で世に出たものだからである。この頃の事は『失踪日記』p.125に言及があるようだ。その出版時期が時期で、インターネットなどの情報経路もまだ未発達だった当時としては突然(?)であっただけに、吾妻ファンでさえこの本は買い逃してしまったという人も多いかも?
000ura 『Oh!アヅマ』の内容を概観すると……。収録されている『いなおり天使』のNo.3は初出が『ミステリー レディース』1989年12月号で、これは最初の失踪(1989年11月)の直前に執筆されたものではないかと思われる。また『秘密のマユちゃん』は『まんがシャレダ!!』1994年1月号に掲載されたもので、こちらは「ガス屋のガス公」(『失踪日記』p.105参照)が東京ガスの社内報1993年2月号に掲載されたほぼ1年後、2度目の失踪から復帰した直後の時期に執筆された作品群のひとつであるらしい事がわかる。
 こうして見るに、この書籍は作者のマンガ家人生がリセットされた(?)ちょうどその頃の作品群を収録していると言えそうで、絵柄の微妙な変遷なども分かり興味深い。

初めまして…の巻

01_2(単行本描き下ろし 1995年8月)

 「あなた おはよー」とバニーガールがお茶を運んで来る。男は読んでいた朝刊(だろう)を置き、「お前どーして朝からそーゆー濃いかっこしてんの」と訊(き)く。どうもこの2人は夫婦であるらしいのだが……?

*これは『コスプレ奥さま』連載の第1話ではなく、単行本『Oh!アヅマ』(ぶんか社 ぶんかコミックス 1995年8月10日)発行にあたって描き下ろしされた作品のようだ。それゆえか内容にいくぶん設定説明のような要素はあるが、殆どそれと気づかない。例えばこの夫婦の姓は「田中」であるらしいのだが2人の名前の方は明らかにされていない。そうした点がかえって自然に感じられる。
 子供(学生)時代に熱中した遊びは大人(社会人)になったらやめる……それがかつてはおそらく常識的で平均値の人生パターンであったかと思われるが、そうした社会通念は1970年代末あたりから変化してきたのかも知れない。社会人どころか親と言う立場になってもなお、学生時代の延長を生きているかのように同じ事に熱中している人物はけっこう実在するようだ。これはそのことに興味関心の無い他人の目から見れば「単なる遊び」としか思えないものでも、取り組んでいる当人たちにしてみれば立派な「趣味」であって、もし可能なら生涯を通じてでも続けるに値する「深さ」を持っているという事なのかも知れない。「遊び」と「趣味」を全く同じものとみなすなら厳密さを欠くだろう。たしかに幼児はお絵描きをして遊ぶかも知れないが、大人が敢えて絵筆をとる時それは一生を捧げても探究に終りの無いものとなる場合もある。
 時代が人を作り、人が時代を作る、という言葉があるようだ。そうした要素に着眼しているかと思えるこの『コスプレ奥さま』は、吾妻マンガの中では『幕の内デスマッチ!!』にやや近いと考えられようか。『幕の内…』は男性の"おたく"を描いているが、こちらは女性の"おたく"をヒロインとしているからだ。

怪盗くらやみ団…の巻

02_3(まんがシャワー 1994年3月号)

 「おはよー あなた」と朝食を持ってくる女房を見てみれば、ワケの分からない服を着ている。何かの登場人物になりきって楽しんでいるらしいのだが夫は呆(あき)れるばかり。でもこの夫婦はそれでもうまくいっているから良いのだろう。しかし女房はさらに現実離れした意味不明の衣装に着替えて、会社についてきてしまう。一体どうなるのやら?

*これが連載第1話だったらしい? 題名どおりコスプレ(仮装)をしているが、何のコスプレなのか、その元ネタを知らなくても話が通じるようになっている。

ぼくは王子だ…の巻

03_3(まんがシャワー 1994年4月号)

 例によって奥さんが、コスプレして朝ごはんを持ってくる。どうも「ネタ」に苦しんでいるらしいのだが……。

*ありきたりなものではなく、それでいて魅力的なコスプレを、というヒロインの努力は、作者の苦労の反映でもあるのだろう。ありきたりではない(?)エロティックな場面も、今回ちょっと入っている。
 作中にある「士魂物語 名刀流転」というのは、1965年に発表された平田弘史の時代劇画であるらしい。

あやしい世界…の巻

04_4(まんがシャワー 1994年5月号)

 幼稚園の劇で使う子供の着ぐるみ作りを頼まれる、田中さんの奥さん。それをゆだねたよその奥さんはごく普通の主婦だったのだが、ひょんな事から巻き込まれてしまい……。

*「人付き合い」によって誰の人生も影響されうるということか(別にこのマンガは教訓話ではないのだが)。

あたしがちからになりましょう…の巻

05_4(まんがシャワー 1994年6月号)

 「スナック喫茶 はるまげどん」では、ウエイトレスたちに逃げられ困っていた。そこへ登場した「3丁目の田中さんの奥さん」だったのだが……。

*現実ではコミケ(マンガ同人誌の即売会)などでのお祭りの衣装という感覚でコスプレ(仮装)をする人が大半ではと思われるが、ヒロインは全然そういう世界に接点を持っていないかのようである。しかし冒頭で「ブロンディ」(Blondie 1930~ アメリカ漫画。作者はChic Young)を演じていたりする。よほどの研究者でもない限りこんな年代ものの外国マンガは知らないだろうに??? マニアだけの集会に於いてではなく日常生活の中でコスプレをやりまくってご町内の有名人となり、大道芸だか風俗営業だか分からない方向へ突っ走るヒロインはとにかく凄い……。

我々は遠くから来た…の巻

06_4(まんがシャワー 1994年7月号)

 会社の慰安旅行で宴会になっていたら、そこで「田中さんの奥さんショー」が始まった。無茶苦茶な配役に無茶苦茶な展開で、どんどんややこしい事になってゆき……。

*元ネタのマンガに知識が無くても大笑いできるのではあるまいか。それにしてもいったいこの会社がどんな事業をしているのやら、気になるところではある。

サマータイムヒーローの巻

07_4(まんがシャワー 1994年8月号)

 夏なのに暑そうなコスプレをして訪問販売にはげむヒロイン。手持ちの衣装を売り歩いているのだったが、おかしな客に出会って……。

*意外な展開で暴走してゆくのが笑える。元ネタである1960年代のマンガを知っている読者にはなおさら爆笑ものなのではあるまいか。

電飾ばんざい…の巻

08_6(まんがシャワー 1994年9月号)

 夫婦揃って手作りの浴衣(ユカタ)を着、仲良くお祭りへ行こうとするが、ヒロインは自分の浴衣に電飾を仕込んで……。

*NHK紅白歌合戦みたいな衣装(?)であるが、実はあとで別のものも出現する。たった5ページだが密度の高い構成になっている。それはさておきこの夫婦の貞操観念はどうなっているのやら、ちょっと心配になる……。
 お祭り会場で流れている曲は「東京音頭」であるらしい。

必殺!サークル固めの巻

09_4(まんがシャワー 1994年10月号)

 ご主人が自宅へ、転勤してきた橋本君を連れてきた。女子プロレスラーのような服を着ていた奥さんは、急いで着替えるのだったが、このお客は……。

*(警告:以下、結末に言及しています)
 かつてはコスプレというと、マンガの創作やファン活動の「おまけ」的な位置づけがされていたように思う(同人誌即売会のなかには、諸般の事情から"コスプレ全面禁止"としたものもあった)。しかしこの頃には既に、コスプレだけで独立した趣味として探究する人達が現れていたのかも知れない。

ゼウスは見ていた…の巻

10_4(まんがシャワー 1994年11月号)

 ご主人が帰宅してみれば、ドアに貼り紙がしてある。「漫画で使ったコスプレ、安価にて販売中! 御自由にお入り下さい」。ところがやってきた客の中に、風変わりな老人が1人いて……。

*サブタイトルはこの老人にからめたものらしい。

夜の夢はまことか?…の巻

11_4(まんがシャワー 1994年12月号)

 ご主人が屋台を見つけ立ち寄ってみたら、なんと奥さんがバイトで店番をしていた。晩ごはんを兼ねて食べていたら、次々と怪しげなお客ばかりやってきて……。

*これが最終回らしいのだが、とうとう最後までヒロインもそのご主人もフルネームは明らかにされていない。「田中さんの奥さん」というのは肩書きであって名前ではないだろう。"あえて名前を特定するまでもなく、どこにでもいる"コスプレ夫婦、といった意味合いであろうか?
 なお、ヒロインである「田中さんの奥さん」は、実はこれが最後の出演ではない。『クラッシュ奥さん』シリーズの第2回(イカしてソーロウ 1997年8月2日号)でしっかり登場しているのだった。

秘密のマユちゃん

12mayu(まんがシャレダ!! 1994年1月号)

*これは4コマ作品なので「あらすじ」の説明をするのはちょっと難しい。ヒロインは「マユちゃん」と呼ばれる女学生なのだが、性格といい家庭環境といい何とも謎めいている。父親と何かわけありらしいのだが(それで題名が「秘密の……」なのだろう)詳細は不明のままである。
 なお、この作品の後に続く「マニアック・るいちゃん」に、この少女は主人公の友人として登場するようだ(ただし"まゆちゃん"と平仮名表記になっているが)。

マニアック・るいちゃん

13_4(まんがシャレダ!! 1994年5月号~1995年8月号)

*これも4コマ漫画なので「あらすじ」を説明するのは難しい。連載16回分、計112篇が収録されている。
 ヒロインは女子高生である大川(おおかわ)るい。友人に「まゆちゃん」がいるが、この2人は別々の制服を着て登場しているので、同じ高校に通学しているわけではないようだ(同窓生であろう女生徒も出てくるのだが、名前は明らかにされていない)。
 題名を見て「何の通(つう=マニア)なんだ?」と思った。が、読み進むと確かにヒロインには凝り性な所があるとはいえ、何かに熱中するというくだりは特に見当たらない。目立つのはむしろ、次々と奇妙奇天烈な行動を取る事なのである。どうやらこの題名は"maniac(マニアック)"の元々の意味を暗示しているらしい……?
 そういうヒロインなので、不条理あるいは分類不能なギャグが多く、1980年代初頭に人気があったらしい"3大異常キャラクター(ナハハ、不気味、三蔵)"たちの遺伝子を引き継いでいるのがこの大川るいであるのかも知れない? とはいえ容姿と台詞に全く彼らと共通点は無いのだが。
 強いて幾つかに分類すると他には、格闘技ネタ、北海道ネタ、料理ネタ、ホームレスネタ、えっちい系ネタ、オタクまたは同人誌ネタ、生物学ネタとでも呼べそうなものが出てくる。ここでふと気づくのは(そしておそらく大変重要なのは)SFネタが1つも無い事である(超能力(?)やUFOが登場するものも2,3はあるのだが)。はたしてこうした作風は編集部からのリクエストによる結果なのか、それとも作者自身による制御なのか? 4コマまんが専門誌は出来る限り読者対象を絞り込まず間口を広く取る編集方針をとっているように感ぜられるので、けだし前者ではあるまいかと思うのだが真相は分からない。
 ヒロインと親しく交際しているらしい男子学生の森本君は準レギュラーとして何度も登場するが、ヒロインの奇妙な言動に振り回されて言葉を失うばかり。結局は主人公の突飛な人柄を目立たせる役どころとなっている。常識的な人物がさんざんな目に遭うのは、吾妻ギャグの基調なのであろうか?

No.1 甘い生活

14ina2(ミステリー レディース 1989年8月号)

 朝。裸で寝ていたヒロインが目覚めてみると、なぜか隣には「経理の森山くん」がいた。「酔っぱらうといつもこれなんだよな 悪い悪い じゃ またね~」と言いながら帰ろうとする彼女に森山くんは答える、「僕たち結婚したんだけど……」。

*この「いなおり天使」シリーズが連載されていたのは女性誌であったからか、やりたい放題の人生を送っているヒロインが登場する。持って生まれた美貌(びぼう)を武器に男どもを手玉にとって、打算に利己主義、不倫に自己中心、自由奔放(ほんぽう)、放埓(ほうらつ)無軌道、飲んで騒いですちゃらかちゃん……。それではしかし同性から見てさえ「嫌な女」になってしまうのでは? と心配になるが、天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)というべきか、ヒロインの"ゆかり"には致命的な弱点がある。酒を飲みだすと制御を失い、出たとこ勝負で無茶をしでかし、あげく翌朝になると自分のした事を全部忘れているというのがそれで、ために彼女の悪巧みは半ば成功するものの常に天罰のオマケ付きという結果になるのだった。
 自分(の欠点)という爆弾を抱えたまま人生を綱渡りして、大成功と大失敗を同時に経験しまくっている"ゆかり"は、まさに現代的なコメディの主人公と言えようか?

No.2 堕天使ロック

15_4(ミステリー レディース 1989年10月号)

 部長が突然、別れてほしいと言ってきた。娘にバレてしまい、「別れなきゃグレる」と宣言されているらしいのだ。いちおう夫である森山君を無理につきあわせ、お別れの食事をすべく部長に会いに行く、ゆかり。しかしそのテーブルに待っていたのは……。

*上司との不倫というネタはレディースコミックにはよくあるらしいのだが、ここでは、きわめて教育上良くないヒロインと、きわめて常識的な周囲の人々との間で炸裂する騒動を描いている。

No.3 ドメスチック・ハイ

16_3(ミステリー レディース 1989年12月号)

 朝寝している、ゆかり。「ごはんできたよ」と夫である森山君に起こされ、朝食でビールをかっくらう。「少しは主婦らしいこともするべきかな?」と考えたゆかりは買い物に出かけるが、その途上で近所づきあいの努力(?)を始め……。

*ここでシリーズは終わっているのだが、ゆかりの旧姓が何なのか、森山君のフルネームが何なのか、不明のままとなっている。現実的な舞台で繰り広げられる物語においても(むしろそういう設定の場合に?)登場人物の名前にあまりこだわらない、というのが吾妻マンガの特徴のひとつなのかも知れない。

あとがき

17ato(描き下ろし 1995年8月)

*この当時の作者の裏事情についてさらりと述べてある。かつて某社に投稿したら吾妻ひでお本人と信じてもらえなかった(?)らしい事など、事実は小説より奇なりと言うべきか。
(単行本『Oh!アヅマ』はここで終わっている。)

便利屋みみちゃん①

00_2 ぶんか社から単行本『便利屋みみちゃん①』が新発売になった。おくづけでは2006年11月10日初版第一刷とあるが、実際には2006年10月30日に店頭へ出たようだ。税込み定価620円と手ごろな値段で、B6版194ページ。全て単行本初収録の新作のみから成っており誰が購入しても損しないだろう(そして何よりも、しっかり面白い)。
 この書籍が入手困難という事はあり得ない筈だけれど……当ブログでもちょっと紹介してみようと思う。収録内容は以下のとおり。
・便利屋みみちゃん 第1~26話
・失踪こぼれ話(1ページ)
・あづま童話(17話ぶん)
・放浪日記(6ページ)
・あとがき(2ページ)
なお表紙は"オレンジ色"ではない(画像が単行本表紙)。本屋さんで探す時、お間違えのないように……。

第1話 ブラック・ジャ●クさんにごきげんよう

01_5(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.42 2004年3月19日号)

 恋人(?)のジュン君と2人きり、布団の上にオールヌードでいるところへ携帯が鳴る。「ハイ便利屋みみでーす」と出てみたら仕事の依頼だった。「今日はナースのお仕事なの」「おまえ資格持ってんのかよ」「いいのよ先生も無免許で顔に縫い目あるんだから」というのだが……。

*無免許で顔に縫い目のある医師というのは、手塚治虫作品のパロディらしい。
 この回の最後のページは、下絵の段階とかなり違っているようだ。下絵は『定本ときめきアリス』(チクマ秀版社)P.199に収録されているのだが、それには、何故みみが金を貯めているのかについて説明があり、ジュン君が北海道出身である事などが台詞で分かる。オチが推敲されて大きく変更されたらしい?

第2話 食うほど痩せるダイエット

02_6(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.43 2004年4月18日号)

 ハンバーガー屋の店内で待ち合わせの、みみとジュン君。そこへ仕事の依頼が携帯に入って来た。ピンチヒッターでウエートレスをつとめるのだったが、それは『ダイエットカフェ げっそり』という変な店で……。

*登場する制服のデザインがどこかアン●ミラー●風で、作者はいろいろ研究しているらしい!?

第3話 みみの寿司

03_6(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.44 2004年5月15日号)

 寿司屋へやってきた便利屋みみちゃん。店主は驚き「一流の板前よこせって言ったはずだぞ」と怒るが、みみの包丁さばきはかなりのものだった。どうにか認められ、そこへ客が来たのだが……?

*70年代からの吾妻ファンには懐かしい"フキナガシ"(空中を泳ぐ魚)が1コマ登場している。芥川賞受賞作の題名をパロディにしている台詞があるが、「若い娘達の才能と実力はあなどりがたい」という、作者の所感であろうか。

第4話 悪徳業者はシュートで潰せ!!

04_7(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.45 2004年6月20日号)

 なぜかセーラー服を着て、みみはジュン君といちゃついている。「朝からイメクラごっこは楽しいな」とジュン君はごきげんだが、そこへ携帯が鳴る。「いえうちはデリヘルじゃないので女の子派遣はしてません」と断った後、別の仕事が来た。どうも屋根瓦の契約でもめているらしく……。

*悪徳商法の撃退というのは何ともユニークな依頼だが、こんな事件に出くわすのも便利屋という商売なればこそだろう。また、こうした問題で警察などがすぐには対応してくれないかも知れないという、社会の現実も反映されているかのようで興味深い。

第5話 工事士免許も持ってます

05_7(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.46 2004年7月17日号)

 現場で仕事をしていたジュン君。そこへ「おふくろ亭のお弁当いかがですかー」と、みみが現れる。「このへん建築工事ラッシュで作業員も多いからバイトで出張販売してんの」という。しかし商売敵も多くいて……。

*ヒロインの恋人らしいジュン君はガスの配管工事をしている事が今回わかる。このへん『失踪日記』の既述からしてどうも作者の実体験がかぶっているものと思われる。ガス屋さんがレギュラーで出演する連載マンガというのは、ひょっとするとこの『便利屋みみちゃん』が日本で唯一の作品かも(?)。

第6話 大忙しバスガイド

06_7(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.47 2004年8月15日号)

 臨時のバスガイドを頼まれた、みみ。それは"河童探索ツアー"の仕事だった。何ともヘンな企画のツアーではあるが、それに集まったお客たちがこれまたヘンな人ばかりで……。

*吾妻キャラでは70年代からの古株になる『三蔵』とおぼしき人物がちょこっと出演、ただし台詞は無い。ヒロインの仕事ぶりも相当ムチャクチャなのだが、それ以上にお客たちの珍妙な言動が笑える!?

第7話 適度に適応

07_7(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.48 2004年9月19日号)

 「もう一年も引きこもってて高校へも行ってない」という少年、英夫。彼の母親から頼まれて、みみは一日恋人を引き受けた。「ギャルゲーや2ちゃんねるやってる方が楽しい」と嫌がる英夫を、みみはあちこち連れ回すのだが。

*単行本『うつうつひでお日記』(角川書店)のp.9(2004年7月12日)には、この回の物語が完成するまでの推敲のプロセスが記されている。完成したものとは細部やオチが微妙に異なり比較してみると面白い。

第8話 ちょこっと逮捕

08_9(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.49 2004年10月16日号)

 酒屋からコンビニへと転業したが、さっぱりはやらないという店。みみはその状況改善を頼まれる。チェーン店に加盟せず個人でやっているだけに、自由はあるがいろいろ難しい。みみの出したアイディアで、なんと「当店万引自由 但し現場をおさえられたら代金はいただきます」という貼り紙をすることになった!!

*ストーリーマンガや劇画であれば、ここでいろいろ現実的な方法を試し、人と人が絡んで織り成されるドラマを……という展開におそらくなるのだろうが、どっこいギャグマンガだとそういう図式は無い。およそ現実には不可能であろうとんでもない真似をあっさりやってのけてしまい、あり得べからざる騒動が読者の眼前に展開してゆく。ギャグマンガのこうした、超現実的な事を読者に目撃させるという要素は、ひょっとしてSFにも通じるところがあるのだろうか?

第9話 UFO売りの季節

09_7(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.50 2004年11月21日号)

 「一日秘書の仕事で時給一万 条件は膝の上に乗ってくれること」という仕事が来た。依頼主は"山本円盤工場"というヘンな会社の社長。なんでも、中学の時からライバルだった同級生が来るので、自分も秘書を雇うまでに出世した、というところを見せたいのだと言う。そしてその人物はやって来たのだが。

*ジュン君の台詞に「ごんぬつ ばー」とあるのは「こんにちは」の意だろう……(?)。 社長が「昔の外国一コマ漫画」に憧れていたり、妙な所で年齢が分かるような細部の描写は面白い。しょうもない見せびらかし合戦を必死にやっている場面も笑える(くっだらね~な~、も~……。遠心力で……浮くワケないでしょうが!!!???)。

第10話 浮気するなら人間と

10_7(みこすり半劇場 2005年2月10日号)

 浮気調査の依頼が来た。証拠写真の撮影には成功したが、標的だった夫はちょっと普通ではなくて……。

*この回はいかにも吾妻マンガらしいと言うべきか、不条理ギャグとSF(?)の成分が色濃く感じられる。ちょっと説明のしようが無いけれど、読んでみれば分かって戴けると思う。

第11話 あたしは優しいお姉さん

11_7(みこすり半劇場 2005年3月10日号)

 「あたしの付き合ってるオヤジのヘルプ頼みたいんですけど」という依頼が来た。女子校生でお姉さんになればいいという。指示されたウイクリーマンションへ行くと、いい歳をした男が待っていた。着替えて現れた彼は、なんと小学1年生になりきっており……。

*"女子校生"というのは誤記ではなく、"高(校)"といった、未成年を暗示する表記が現在のマスコミでは禁止されているゆえらしい。この回でみみは18歳であることが分かる(少なくともそういう情報が伝わっているらしい)。

第12話 萌えよお花見

12_6(みこすり半劇場 2005年4月14日号)

 "ピグマリオン御一行様"のため、花見の席取りをしていた、みみ。客が到着し場所を引き渡したとたん、みみは撮影されまくる。タダ酒を飲ませてもらえるようなのでその場にとどまると、客は美少女人形のマニアたちだと分かって……。

*合成樹脂などでできた人形はフィギュアといい、服が布製で着せ替え可能な人形はドールと呼ぶ……とか小耳に挟んだ事がある。

第13話 イタイボケにも突っ込みます

13_6(みこすり半劇場 2005年5月12日号)

 演芸場へ出向く、みみ。漫才の相方が「人妻と駆け落ちしちゃっ」たので、その代理をつとめる仕事だった。依頼主である鼻田という男が、ひとりでボケとツッコミをやるから横に立ってるだけでいい、というのだったが……。

*副題にある「イタイ(痛い)」というのは今どきの俗語で、「聞いているほうが恥ずかしい」といった意味合いのようだ。それと今回の内容をひっかけているらしい。みみがコスプレしているバニーガール服はもとをたどれば米国の有名な雑誌がナイトクラブの制服にデザインしたものの筈で(実物がスミソニアン博物館に保存、展示されているとか聞く)、そのへんを考えるとコスプレ趣味は、米国が発祥地なのだろうか。

第14話 呪詛の夜

14_5(みこすり半劇場 2005年6月9日号)

 コスプレ合コンのメンバーが足りないからと、仕事が入った。5万もらえると聞いて、みみは大喜び。現場へ行くと、可愛い娘2人が出迎えてくれた。しかし、合コンの相手はなぜかおっさんが3人で、どうも何かおかしい……。

第15話 爺が立った!

15_6(みこすり半劇場 2005年7月14日号)

 ヘルパーとして老人介護に挑む、みみ。愛想を尽かし出てゆく先任のヘルパーが「ここの爺さんは特にあつかいにくいよ」と警告する。と、みみは資格証明を出して見せた。それは「どんな患者も立ち直らせるという幻のヘルパー特級」のものだったが。

*かつて有名なアニメに「クララが立った!」という台詞があり、もしかするとそれに引っ掛けたサブタイトルか。ただし、そういう筋の感動物語を期待しないほうが……(言うまでもなかったりして)。

第16話 レッスルする人々

16_5(みこすり半劇場 2005年8月11日号)

 「どっか遊びにいこうよ~~」と、みみがジュン君に"4(よん)の字がため"をかけていた時、携帯が鳴った。集団食中毒で選手のほとんどが入院してしまったため、女子プロレスに出場してくれというのだ。「格闘技もできる便利屋だって有名」なみみは、「ぜひやらせてください」と大喜びで引き受けるが。

*昭和レトロな、学校の体育着(Tシャツとブルマー)で闘うので強そうには見えないが、みみはかなりのマニアであるらしい? レッスル(wrestle)は組み打ちをすることで、その名詞形がレスリング(wrestling)。

第17話 夏の幽霊

17_4(みこすり半劇場 2005年9月8日号)

 海水浴場。みみは海の家で働いている。やがて陽も落ちて大忙しの1日は終わった筈だが、契約は翌日の朝までとなっていた。きけば「深夜の2時頃予約が入ってるの」と、依頼主である"海の家 未練"のおばさんは言う。はたして深夜、客はやって来たが……。

*最後のコマまで仕掛けがある。まいった。

第18話 さかなはあぶったアレでいい!?

18_4(みこすり半劇場 2005年10月13日号)

 コスプレ喫茶の臨時ウエートレスという仕事が入った。「やっぱメイド服?」とたずねてみれば違うらしい。かくて"かっぽうぎ喫茶 ねまれ"で働くみみだったが……。

*サブタイトルは八代亜季の演歌からのパロディか。欄外脚注によれば「ねまれ」とは「座れ」の意だそうで、北海道の方言であるらしい。だが出てくる料理は沖縄(ゴーヤチャンプル)に名古屋(ミソカツ)、はては酒にフランス(ブルゴーニュ)までごっちゃというありさまで、えらく怪しげなメニューになってるぞ!?

第19話 看護助手ですよろしく

19_4(みこすり半劇場 2005年11月10日号)

 "ぶんか外科"で看護助手をする、みみ。医療行為はせず雑用全般を担当する役割だ。「患者によってはセクハラまがいのことがあるかも知れないけど」と事前に警告される。そこへさっそく、そういう奴からコールがかかって……。

*最後のページで登場するあるキャラクターなのだが、読後に最初から読み返してみたら、ちゃんと……(読めば分かります)。

第20話 タイガースホリック

20_3(みこすり半劇場 2005年12月8日号)

 野球場でビールやつまみの売り子をしている、みみ。試合は快進撃、商売は順調、しかし……?

*"ドラえ●ん"のパロディ、クレジットカードCM(メル=ギブソンが出た?)のパロディ、そして不条理な幻想の数々。タイガースファンからはどのような反応があったやら心配になるのだが……。

第21話 虐待カフェ

21_4(みこすり半劇場 2006年2月9日号)

 メイドカフェの仕事が入り、みみは"lazy made"という店で働く。マニアな客がさっそく来てみれば、店内では何ともだらけきったメイドが3人いるというヘンな状況で……。

*"南部"を田舎(?)としていたり、ベルトでどうこうというあたり、どこか米国ふうに思えるのだが詳細不明。みみの黒いニーソックスはときどきズレているのでゴムがゆるいらしい(←どうでもいいメモ)。店名のlazy made(直訳すれば"怠惰な作りの"か?)というのはlady's maid(貴婦人の侍女)とready-made(好都合の)を合成した造語だろうか。
 「きぐしねいです」の台詞は『アララテ山のむこうに恐山』でも登場している。

第22話 忍術学校出ています

22_4(みこすり半劇場 2006年6月8日号)

 ストーカーに悩まされている女性の部屋をたずねる、みみ。毎日メールが来るうえ、その内容が「全て当たってる」という。「盗聴か盗撮されてるのかも」と、みみは室内の調査を始める……。

*ここでは甲賀流を取り上げているが、他に伊賀流、戸隠流なども有名だろう。吾妻マンガに忍者は時々登場するが、実在する流派を明言しているのは珍しいかも?

第23話 嬢王さまのお通りよ

23_5(みこすり半劇場 2006年7月13日号)

 キャバクラのヘルプをすることになったのだが、行ってみたらホームレス"村"に店はあった。みみに支給されたドレスも穴だらけのゴミで、当然やってくる客たちもまた……。

*『失踪日記』にくわしい作者の衝撃的な経験がネタに生かされているようだ。それゆえか机上の空想によるギャグと違って、不思議な凄みのある回になっている。

第24話 名前を書いてはいけません

24_4(みこすり半劇場 2006年8月10日号)

 みみに依頼をしてきたのは、どうも映画マニアであるらしい長髪の青年と、その恋人らしき娘の2人組だった。娘の家が大富豪なので、「小遣い稼ぎに狂言誘拐してみたんだ」とのことで、一千万円用意しろと手紙も出したという。「その金受け取ってきて」と頼まれたみみは驚き呆れ、「そんな犯罪まがいの仕事はお断り!」と出てゆくけれど……。

*みみの名字が"空野(そらの)"である事が今回初めて明らかになっている。コスプレの方はあまり目立っていないのが、シリーズ中では珍しい?

第25話 CAとお呼びください

25_4(みこすり半劇場 2006年9月14日号)

 「飛行機で無人島に不時着してCA(キャビンアテンダント)さんとふたりきりですごしたいんですけどできますか」というヘンな依頼。一瞬考えたみみは「できます」とこれを引き受けたのだが……?

*2ページ目でいきなり「おいおい」と思わされるが笑える。読了すると、いろいろ伏線が仕掛けてあった事に気づく。うまくダマされる楽しさは、読者という立場ならではの幸福だ。

第26話 大きなお友だちさんこんにちは

26_4(みこすり半劇場 2006年10月12日号)

 「ミニヨンファム ミニコンサート 写真撮影会」と表示のある会場へ行き、控室に入るみみ。少女3人組アイドルのデビューコンサートらしいのだが、メンバー1人が盲腸で入院したための代理という役目なのだった。会場は盛り上がり、全て順調だが……。

*『便利屋みみちゃん①』での、みみの活躍はここで終わっている。それにしても多才で頼もしい(!?)ヒロインではある。今後もありとあらゆる業種での活躍を見せてくれることだろう。みみが有能なぶんジュン君にはあまり出る幕が無いのが、ちょっと気の毒にも思えたりして。みみとジュン君たちは念願を成就し幸福に結ばれるのだろうか? それは続刊のお楽しみだ。

失踪こぼれ話

27_4(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.15 2001年12月15日号)

*『私だけのひとには、言えない、失踪こぼれ話』というのがホントの題名。
 奥様がなぜソファーで仮眠を取っていた(?)のか状況が不明だけれど、原稿の仕上げでよほど切羽詰っていた時の事だったのだろうか。

ドドンガとゲロッチュ

28_4(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.16 2002年1月20日号)

 姫が侍女をつれて、結婚のために隣の国へと旅立った。ところがその途上で、侍女はいきなり反逆を始める。姫は魔法をかけられてしまい……。

*『あづま童話』はこれを第1回として2004年2月15日号まで連載された作品群で、『ひでお童話集』とは別のもの。全25話ほどあるようで、今回収録されなかったお話は「次回をお楽しみに」ということか。登場人物も舞台も1話ごとに違うので、非常に変化に富む内容となっており、その題材の自由の大きさも面白さを増幅しているようだ。とはいえ、"毎回登場する主人公"を持たないシリーズというのは、読者に覚えてもらいにくそうでもある。編集部としては、固定読者を獲得するうえで不利な勝負になると判断したかも?
 ふと思ったのだけれど、この『ドドンガとゲロッチュ』の原作は、ヨハネ黙示録16章13節(カエル)や民数記22章28節(ロバ)といった、聖書の幻想的なエピソードが元ネタ(欧州の創作だとさもありなん)のパロディなんだろうか。だとするとこのマンガは、"パロディのパロディ"ということになる???

火打ち石

29_4(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.17 2002年2月17日号)

 ひとりの兵隊は故郷へ帰る途中で、魔女を救い、そのお礼にと「不思議な火打ち石」をもらった。「三匹の超能力犬がしもべになる」というものだったが……。

*懐かしい吾妻キャラ、"ナハハ"が1コマ、ちょこっと出演している。

島の合戦

30_4(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.18 2002年3月21日号)

 独りで釣りをしていた男が嵐に遭い、海に投げ出される。男は島の砂浜へ打ち上げられ、気づくとそこには美女が立っており……。

*舞台になっている加賀の国とは、現在の石川県の南部だそうだ。物語は藤原秀郷(ふじわらのひでさと)の伝説に似ているように思うのだけれど、委細は分からない。

悪魔の三本の髪の毛

31_4(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.19 2002年4月20日号)

 姫がある日、1人の木こりを見初めた。王の許しを得て、結婚する事になったものの、「姫の婿になる者には、悪魔の髪の毛を三本取ってくるという決まりがある」のだった。無念無想で冷静な木こりは、そのつとめを果たすべく出かけてゆくのだが。

忠義者のヨハネス

32_4(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.22 2002年7月20日号)

 臨終の床にあって、王様は、忠義者のヨハネスに1つの事をゆだねた。「わしが死んだ後 城の奥にある秘密の部屋 あそこに王子だけは入れてはならん 不幸の元になる」。しかし王子はこれを盗み聞きし、部屋へ入ってしまった。すると部屋には美女がいたが、どうにも奇妙なことに彼女は……。

森の少女

33_4(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.25 2002年10月19日号)

 少女は森で道に迷い、ひどく空腹だった。そこへ醜い鳥がやってきて、鍵を1つくれる。その鍵を、変な木のところで少女が使ってみたら……。

牛方と山姥

34_4(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.27 2002年12月21日号)

 牛方(うしかた)が牛に荷を積んで、山の村へ売りに出かけた。暗い峠にさしかかると、いきなり山姥(やまんば)が現れ、牛方は危うく食われてしまいそうになるが。

リーゼと死神

35_3(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.28 2003年1月19日号)

 死神がハンスの家に現れて、寿命がきた彼を迎えに来たと言う。だが怪力のハンスに殴り飛ばされ、使命を果たせない。死神はリーゼという娘に助けられ、結婚したいと願うようになった。だがリーゼには既に恋人がいて……。

*ハンスという男は『ひでお童話集』の『メリメリ木こり』でも登場するが、顔も言葉遣いも似ているようだ。

本取山

36_3(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.30 2003年3月20日号)

 本取山にあるほら穴に頼みごとをすると、少し金はかかるけれど色々願いをかなえてくれる……そう教えられた若者、小吉(こきち)は、「かわいくて働き者の娘っ子をひとり」頼んでみた。するとセーラー服を着た娘が携帯をかけながら出てきて……。

*「これでいったいどうやってオチをつけるのだろうか」と読んでいるほうが心配になってくるような出だしであるが、ちゃんと一件落着している(?)のであった。うーん。

水の精

37_2(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.31 2003年4月20日号)

 水車が壊れ、貧しい粉ひきは困り果てていた。そんな彼の前に、なぜかスクール水着(しかも3Bと書いてある)姿の水の精が現れる。彼女は金貨20枚とひきかえに「あなたの家で今生れたものを」くれる約束をするよう彼に求める。「オレの家で生まれるものなんて猫の子ぐらいだ」と粉ひきは考えて……。

*よく見れば3Bと1Aが……なんでやねん???

ナイチンゲール

38_2(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.32 2003年5月17日号)

 天使のような鳥の声に感激した姫が、「あたしのために毎日その歌声を聞かせてくれたら望みのものをあげるわよ」と、ナイチンゲールに言う。ナイチンゲールはそれを受け入れたが、彼の望んだ事は……。

ものを食べない娘

39_2(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.33 2003年6月15日号)

 「めし食わすのがもったいないので嫁はいりません」というケチな男。「でも ものを食わず美人で働き者で せっくすの具合良い女ならもらいます」。どういうわけか「あたしは生まれてから 一度もごはんをいただいたことがありません」という嫁が見つかったのだが。

*これはなかなかに高密度なお笑い(?)で、どんでん返しに次ぐどんでん返し、まいった。このオチをジョン・レノン(John Winston Ono Lennon)がどう思うか、それは分からないけど……。

ものぐさハインツ

40_2(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.34 2003年7月19日号)

 仕事が大嫌いなハインツは、隣の家のトリーネを嫁にもらって働かせ、自分は楽をしようと考える。かくて結婚したものの、女房となったトリーネは、ハインツをも上回るものぐさで……。

人魚の姫

41_2(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.35 2003年8月17日号)

 なぜか現代日本(だろう)の鉄道の改札で、セーラー服の少女が、学生らしい少年に交際を申し込む。どうにか2人はつきあうようになったのだが……。

*「あけおめことよろ」(あけましておめでとう、今年もよろしく、の意)式のぞんざいな省略セリフがあったりいかにも当世風な細部が、愛のカケラも無いようなキツ~い物語に合っているようだ。「庵出流仙(アンデルセン、だろう)」なるヘンな当て字も書いてある。

土の下の竜

42_2(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.37 2003年10月18日号)

 王様である父と共に、庭を散歩している姫。おいしそうな木の実を見つけた姫は、つい手を伸ばしてそれを取る。しかしその木を一番大事にしていた王は、その実に魔法をかけていたため……。

ママのすることに間違いなし

43_2(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.38 2003年11月16日号)

 ミヨコのお父さんはリストラされて長いのに「再就職する気ないし大食い」うんぬんで、とうとうママの愛想が尽きた。フリーマーケットで8500円で売ってこいというママの命令で、お父さんは首に縄をかけられ、娘のミヨコに引かれて売られにゆく。

*現実的な舞台でおよそ非日常的な光景が展開してゆき、何とも奇妙な雰囲気の物語となっている珍品。SF作家にグレッグ・ベア(Greg Bear)という人がいるようなのだが、このお話と結びつくのかどうか、残念ながら僕には分からない。

さとるの化け物

44_2(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.39 2003年12月20日号)

 狩人が焚き火で獲物を調理していると、狐が「その肉一口もらえませんか」と言ってきた。肉をやると、今度は若い娘が1人で現れ、「あたしにも食べさせてください」と言う。不思議な事に娘は、人の考えが分かるようだ。しかし、どうしてどうして、狩人は思いもよらぬ方法でこの「さとるの化け物」をやり込め……。

*エロな展開になりそうでならず、それだけにユニークな物語となっており面白い。

放浪日記

45_2(みこすり半劇場 2006年1月12日号)

*これは単行本『失踪日記』で描かれなかったエピソードをまとめたもので、背景その他から考えると1回目の失踪の時の思い出か。雑誌での初掲載時この作品は"袋とじ"になっていたのだが別にえっちい場面があるとかいうワケではなく(あたりまえだ)、そうやって「立ち読み」を封じる事により、「吾妻マンガが読みたくてこの雑誌を買う、という読者がどのくらいいるのか」を調べる為だったのではないかと思われる(?)。
 "謎のコーヒー生物"のあたり、骨の髄まで染みている作者のSF精神が感じられるようで微笑ましい。そして、印象的なオチで幕になっている。

あとがき

46_2(単行本描き下ろし 2006年11月10日)

*原稿料のこと等、職業としての漫画家はいかに大変であるかが語られており、漫画家志望の人たちには「別に仕事を持って」創作に取り組むほうが良いであろうという助言が読めるようだ。
 第23話『嬢王さまのお通りよ』以来、レギュラー的に出てくるようになった謎の魚らしきものが、ここでもちょこっと出演。

(単行本『便利屋みみちゃん①』は、ここで終わっている。)

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