カテゴリー「17 好き!すき!!魔女先生/魔法使いチャッピー」の記事

はじめに

01ssm このカテゴリーで取り上げる作品群は"原作つき"のものなので、100%吾妻オリジナルのマンガとは言えないだろう。それがために吾妻ファンでも、これらの作品にはあまり興味がわかず買わなかった(だから未だに読んだことが無い)、という人もあるやも知れない。そのへんを考えるとこうした作品群こそ、再販されれば需要が大きいかも知れない(?)。
03_7 ともあれ、吾妻マンガのなかでは珍種と言えそうなこうした作品を収録した図書に、『吾妻ひでおテレビ・アニメ傑作選① 好き!すき!!魔女先生』と『吾妻ひでおテレビ・アニメ傑作選② 魔法使いチャッピー』がある(徳間書店、当時の定価は各450円)。この2冊をテキストにして、その内容を紹介してゆこうと思う。
02mc 原作つきとは言っても、それは登場人物のデザインをはじめとする基本設定のみであって、各話の物語はおそらく吾妻マンガとしてオリジナルなものなのではないかと思われる。してみればこれらの作品は、幾つか存在する本当の"原作つき"作品(川又千秋『ぬいぐるみ』や辺見愚栄『ママ』)よりはむしろ、古典の"翻案"である『きまぐれ悟空』『オリンポスのポロン』、また『贋作ひでお八犬伝』に近い作品として位置づけるのが適切であろうか?
 原作については個々の作品の冒頭でそのつど述べさせて戴き、そのあと、吾妻マンガでの各話のあらすじを記してゆこうと思う。
 (画像は、単行本の表紙と、綴じ込み付録のミニポスター。)
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第1話 月先生はうちゅう人!?

04_8(テレビマガジン 1971年12月号)

 「ひめ~~はやくしたくしないと学校におくれるぞ」と、ウサギみたいな生物が人間の女性をせかす。その人もまた普通ではなく、一瞬にして服を着替え、空をひとっ飛びで出勤するのだった。その女性「月ひかる」は、「ちきゅう人をかんさつするため学校の先生になるの われながらめいあんね」と自画自賛しているが、空を飛ぶ姿を生徒の2人に見られてしまい……。

*『好き!すき!!魔女先生』について

 『失踪日記』p.137にあるとおりこの作品は石森章太郎『千の目先生』が元ネタになっている特撮TVドラマで、1971年10月3日~1972年3月26日に放送されていたようだ。主演の菊容子がかなりコケティッシュな役どころだった事ばかりを僕は強く覚えている(←ろくでもない視聴者)のだけれど、今になってふりかえると"実写変身ヒロイン"のはしりにあたる番組でもあったようで、その点をこそ力説しなくてはいけないか。菊容子は1975年4月29日に帰らぬ人となってしまったようでこれはほんとに悲しい。
 テレビ番組をコミック化したりして掲載している雑誌は今でも存在するが、家庭でTV番組を録画・保存する手段が一般家庭にはまず殆ど無かった当時、そうした出版物の重要度は今よりもはるかに大きかったろうと思われる。番組は6ヶ月続いたが、吾妻マンガの連載は番組の放送開始後に始まったため、5話で全てとなっている。
 この第1話では、ウサギのような外見の宇宙生物であるバルが、「シェイクリー」(注:SF作家ロバート・シェイクリー(Robert Sheckley)か)と書かれた本を読んでおり、これは吾妻ひでおの趣味であるらしい?

第2話 ムーンライトパワー!!

05_8(テレビマガジン 1972年1月号)

 「バル ふゆ休みのかていほうもんに いってくるわね」と、お目付け役らしき宇宙生物バルに言う、ひかる。バルは酒に酔っているが、ひかるは酒をまだ飲んだ事が無い。外を歩いていたら、教え子たちが中学生にめんこを取り上げられていた。「きみたち小さい子をいじめてはずかしくないの」と、ひかるは中学生たちを叱るのだが……。

*連載されたのが幼年誌だったからか、TVで原作が放送中だったからか、設定説明のようなエピソードは殆ど無しに、ヒロインはさっそく超能力を使いまくって大活躍している。シンプルなぶん、マンガ本来の楽しさが味わえて微笑ましい。

第3話 アンドロ仮面に大変身

06_8(テレビマガジン 1972年2月号)

 なにはなくとも女の子が好き、という宇宙怪獣ヨタリが地球へやってくる。しかも月ひかるのクラスへ転入する事になった。「うちゅうのへいわかんしいん」である彼女は入学に反対するがその意見は聞き入れられず、ついにヨタリは授業中に正体をあらわして……。

*どうも生原稿ではなく掲載雑誌からの複写で印刷されたようで(ページノンブルがコマの隅に残っている)、今回画質が少しおちるのが残念。
(注:以下、あらすじに関係ありません)校長先生の台詞「いいんじゃないの」について。
 1970年代後半当時に沖由佳雄さんと話していたおり、”吾妻先生は、恩師である板井れんたろう先生からの許しを得ずして漫画家デビューを果たし、これがために板井先生から叱られたそうだ(と吾妻先生から聞いた)”という事を教えてもらいました。そこで僕は、沖さんが吾妻先生に無断でデビューしたら吾妻先生から叱られますかねぇと意見を訊くと沖さん曰く、「いや~それはないだろ、『いいんじゃないの』って言われると思うなあ」とのこと、ふたりで笑ってしまいました。この『いいんじゃないの』という言葉は僕も吾妻先生から直接聞いたことが1度あって、もしかすると当時の吾妻先生の口癖だったのかも知れません。『失踪日記』p.138でも、これに近い一言があるようです。

第4話 ノミデンスごようだ!!

07_8(テレビマガジン 1972年3月号)

 「かゆうい」授業中に月ひかる先生が暴れだした。"のみ"にくわれたのだったが、どうもそれは普通の"のみ"ではなかった。生徒達まで次々とやられ、殺虫剤も効き目が無い。月先生は"のみ"のサイズにまで小さく変身して、調査と解決のため立ち上がるが。

『エイト・ビート』のレギュラーであるメチル・アルコール(だろう)が生徒役で出演している。アンドロ仮面のコスチュームは前回(こちらの方がTVのそれには忠実か)と少し違っており、デザインに吾妻オリジナルの変更が加えられているのかも知れない。

第5話 さよなら魔女先生

08_10(テレビマガジン 1972年4月号)

 野球の対校試合で、月ひかる先生はピッチャーをつとめる。ところが現れた相手「ケジラミチーム」は、なんと前回倒した「きゅうけつかいじゅうノミンデス」たちがメンバーだった。「しあいにかったらおまえたちの ちをもらうぜ」と言われ全員おびえるが「だいじょうぶ まけるもんですか」と月先生は受けてたち……。

*雑誌掲載時には次号予告スペースだったかと思われる余白に、この単行本では月ひかるの水着姿とヌード(!)のカットが描き加えられており、下のほうには手書き文字で「わーばんざーい!」とある。確かに幼年誌では不可能な絵だったでしょうな。宇宙生物との知恵比べ対決などは作者にとって本領発揮できる題材だったのではと思えるだけに、これが最終回なのはなんとも残念。

第1話 ママ上さがして

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(テレビマガジン 1974年1月号)

 森の中の一軒家で、老人が天体望遠鏡をのぞいている。その隣にいた少女は「おじいちゃん 変なものが落ちてくるわ」と気づくが、老人はどうも関心が無い様子。やがて謎の物体は轟音を立てて地上に墜落した。「みてこよう」と少女、ルリが一人でそちらへ行ってみると、奇妙で小さな謎の生物がいた……。

*『星の子チョビン』について

 これも石森章太郎が原作だが、その原作もマンガなので、いわば「コミックのコミック化」(?)であるというややこしい立場になる。石森章太郎によるマンガはTVアニメの放送(1974年4月5日~9月27日)と同時に『週刊少女フレンド』に連載され、1999年にはメディアファクトリーから初めて単行本化されたらしい(実物未確認)。もし両者を比較することがかなえば、どのへんが吾妻オリジナルであるかをより正確に識別できるだろう。
 まるっきり余談ですけれど、アシスタントであった沖さんの下宿でこの番組を一緒に観ていたことがあります。沖さんは主題歌を歌っている藍美代子が気に入っていて、もっと売れてもいいはずの人だろうにと残念がってました。

第2話 チョビンとカレー

10_8(テレビマガジン 1974年3月号)

 ルリの家へ動物たちが、夕食に招待されてやって来た。しかしどうにもヘンテコなやつばかりで、カレーを食べる前に家具を食ってしまったりする。あんまりムチャクチャなので「もっとじょうひんにくえんのか」とチョビンは皆を叱るのだったが……。

*壁にこっそり(?)裸婦の絵がかけてあったり、幼年誌らしからぬイタズラがある?

第3話 ママ上だらけ!

11_8(テレビマガジン 1974年2月号)

 「きょうはチョビンにまちをあんないしてあげるわ」とルリに言われ、ついてゆくチョビン。とはいえボールのようにぽんぽんはねて進むので、あちこちとんでもない方向へ飛んではぶつかる。やがてチョビンは「ママにそっくりな人」を見つけて……。

第4話 チョビンのキック大会

12_7(テレビマガジン 1974年4月号)

 勝ちぬきキック大会が開かれ、チョビンと仲間の動物たちが試合をする。勝てば晩ごはん三人前なので皆必死になるが、変な飛び入り参加者が現れた。チョビンたちあやうし!

*当時TVでもキックボクシングの試合中継が行なわれており、そうしたプロスポーツの流行による影響か。この回で悪役、チョビンのママ上をさらった「ブルンガ」が登場し、いよいよ話は佳境に入るかと言うところなのだが、これが"最終回"となったようだ。別の漫画家(すがやみつる)にバトンタッチして『星の子チョビン』の連載は続いたらしいのだけれども、吾妻版が尻切れのようになったのは惜しい。

第1話 メダマン登場!

13_7(冒険王 1976年9月号)

 友だちと同じように「ネックレス」がほしいマミちゃんへ、パパが「高坂家に先祖代々伝わるゆいしょ正しい一品」というものをくれた。御先祖の高坂写楽斉(たかさかしゃらくさい)がオバケに頼まれて似顔絵を描き、その代償にもらった108コの水晶玉だという。「オバケがとりもどしにくるかも」とマミちゃんが心配していたら、そこへ……。

*『ぐるぐるメダマン』について

 『失踪日記』p.139で語られているように、吾妻ひでおはこの作品のキャラクターデザインを担当している。そのデザインがどれほど忠実に再現されてTVドラマのキャラクターとなったのかは分からない(業界の常として、けだしそのままではなく、他の人による修正が加えられたのではないだろうか)。最初のデザイン画などがもし現存するとしたら見てみたいものではある。番組は1976年7月10日~1977年1月29日に放送され、メダマンほかのオバケたちは"超合金"などのような玩具やプラモデルにもなったようだ。吾妻ひでおによるキャラクターが最初に立体物となり商品化されたのはこれが最初であったかと思われる(?)。
 余談ですけれど、こうしたつながりによってか、沖さんは石森プロへ臨時のアシスタントをしに出向(?)された経験があるようです。無気力プロでの仕事とはその内容が微妙に違うところもあって苦労したむねを聞かせて下さいました。
(付記:『ぐるぐるメダマン』については公式HP、2008年1月7日(金)の日記で、吾妻ひでおは以下のように記している、「あのキャラ私が考えたわけじゃないし(青柳さんとか他の人のアイディア)」。これは、メダマン以外の妖怪たちだけデザインを担当した、という意味であろうか? (この既述は単行本「うつうつひでお日記 その後」のp.90に収録されている))

第2話 恐怖の愛のムチ

14_6(冒険王 1976年10月号)

 夜中の二時に、マミちゃんの家の屋根うらで野球をしている、メダマンたちオバケ一同。ネックレスを取りもどすまでオバケの世界に帰れないのだった。だが人間のタメにいいことをしないと水晶玉はもらえない。メダマンたちはマミちゃんについて学校へ行くが。

*オバケたちのうち最も人間に近い容姿をしているアズキアライ(とはいっても河童がまぜこぜになっている!?)だが、TVの実写版に比べるとこちらは少し年齢が上になっているようで、お色気シーン(?)も2コマほどある。

第3話 遠足にいこう!

15_7(冒険王 1976年11月号)

 相変わらずおかしな真似ばかりしてはマミちゃんに叱られるメダマン。そのマミちゃんが明日は遠足だと知り、「いいことしてネックレスをかえしてもらうチャンスだぞ」と、メダマンはオバケたちに話す。けれどみんな何にも分かってなくて……。マミちゃんにも「ついてこないで!!」と断られてしまうのだったが。

第4話 アルバイト騒動

16_6(冒険王 1976年12月号)

 「パパ マミ ごはんですよー」とママに呼ばれて行ってみれば、メダマンたちが吹っ飛んできて何もかも全部食べてしまう。「あんな大食らいのオバケがいたんじゃどうやりくりしてもおっつかないわ」と嘆くママ。「これから自分の食事は自分でしてね!!」とマミちゃんに言われてしまった。「アルバイトでもやってお金をかせぐのよ」とアズキアライが思いつき、メダマンたちは働こうとする……。

第5話 一夜明ければ…

17_5(冒険王 1977年1月号)

 お正月が近づき、人々は忙しい。メダマンたちは人間の正月が理解できないが、おモチは食べたがるのだった。そのために何かうまいもうけぐちがないかと探し回って……。

*海ぼうずが「おとうさん」と叫び「もしかしたらおとうさんじゃありませんか!?」と騒ぐ場面がある。これはのちに"不気味くん"が時々やってみせるようになる不条理反応の原型なのだろうか?

第6話 メダマン故郷へ帰る!

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(冒険王 1977年2月号)

 マミちゃんとママは甘酒を飲んで身体をあたためている。メダマンたちも少しもらえたが、とても足りない。結局パパの酒まで勝手に飲み、マミちゃんの家から追い出されてしまった。寒い戸外ではさらに雪まで降り始め、頭にきたメダマンは雲の上にいたカミナリに文句を言うのだったが。

*これが連載の最終回。しかしその内容はTVの実写版とまるで異なるようで、完全な吾妻オリジナルになっているものと思われる。「ちっともこわくないわね」と第1話でマミちゃんに言われてしまうメダマンをはじめ、とぼけた海ぼうず、大食いのミイラ男、何にでも反対しすぐバラバラに分解してしまうアマノジャク、ちょっとコケティッシュな(?)アズキアライなど、いかにも児童向けエンタテインメントらしく賑やかで楽しい顔ぶれになっている。吾妻マンガ版がわずかに6回で終わっているのは残念だ。

(『好き!すき!!魔女先生 吾妻ひでおテレビ・アニメ傑作選①』は、ここで終わっている。)

第1話 チャッピーのひっこし

20_4(テレビマガジン 1972年5月号)

 チャッピーちゃんの一家は魔法使い。「まほうのくに」から引越してきたけれど、「どこへいってもくるまにこうじにせんでん」でやかましいため、パパはすっかりまいっている。しかしチャッピーは元気なもので、弟(らしい)のジュンをつれ「にんげんのせかいをたんけんに」出かけた。すると路上でふたりの少年、兄弟であるらしい一平・二平に出会う。ところがさっそくケンカになってしまい……。

*第1回なので基本設定の説明がどうしても多くなり、登場人物も原作のキャラクターデザインに忠実であろうとつとめているようで、吾妻マンガらしいオリジナリティはこの段階ではまだ弱い感じ。トビラでバラの花がたくさん描かれ、点描が多用されていたりと装飾的な作画がなされており、女児向けマンガとしての仕上げに気を使ったことがうかがえるようだ。
 主人公の"チャッピー"という名前は「おちゃっぴい」(調子づいておしゃべり(な少女)の意)からきているのかも知れないが、この回にそういった性格特性の描写は無い。

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『魔法使いチャッピー』について

 これは東映動画によるTVアニメが原作で、番組は1972年4月3日~12月25日に放映されたようだ。この前(1971年10月4日~1972年3月27日)に放送されていたのが石森章太郎による原作をもつ『さるとびエッちゃん』で、もしかすると石森プロの筋から依頼がありコミック化をゆだねられたのだろうか? とはいえ『魔法使いチャッピー』のキャラクターデザインは高橋信也(『魔法のマコちゃん』でも主人公ほか登場人物をデザインしている)によるもので、石森プロはこのアニメには特に関与していない(?)らしく、真相は分からない。
 余談だけれども、沖さんが先輩アシスタントであるみぞろぎさんと雑談していて、原動画からアニメセルへのトレスをペンでやるのは滑ってやりにくそうだといった意見を述べたら「いや、あれ結構ひっかかるよ」と言われたので、みぞろぎさんの経験の広さと深さにびっくりしたと話しておられました。(注:アニメ制作に"セル"を使っていた頃、トレスマシンが実用化されるまでは手描きで1枚ずつトレスを行なっていたのです。)

第2話 チャッピーのてんこう

21_5(テレビマガジン 1972年6月号)

 朝。チャッピーの家へ一平くんが訪ねて来た。彼の姉であるミチ子と、しずこちゃんを紹介される。「いっしょに学校へいきましょ」と誘われるが「学校ってなあに?」とチャッピー。あわててパパに相談するけれど、「うちでまほうのべんきょうしてればいいの」と言われてしまう。学校へ行きたがるチャッピーに困り果てたパパは、オジイとオババを呼ぶのだが……。

*そそっかしいヒロインのチャッピーとは対照的に、弟のジュンがしっかり者である事など、人物描写が始まっている。「しずこちゃん」というキャラクターは最初から最後まで首をかしげて微笑したままで一言も喋らず、無言不動のギャグ(??)になっていたりして珍妙な面白さがある。当時流行していた『木枯し紋次郎』(笹沢左保原作のTV時代劇)のコスプレなど、世相の反映も見られるようだ。

第3話 チャッピーの夏休み

22_5(テレビマガジン 1972年9月号)

 夏。チャッピーの家族は全員がお昼寝している。「このまにちょっと空のおさんぽ」と、チャッピーはほうきに乗って空を飛んでゆく。山へ行き、海へ行き、そしてしまいには……!?

*楽屋オチ的な部分や下品ギャグも登場し、正義もお行儀もなんのその、いよいよ吾妻オリジナルの色彩が強くなってきた。石神井公園(しゃくじいこうえん:東京都練馬区に実在する)が舞台になっているくだりがあるけれど、原作のチャッピーがその地域に居住したかどうかは不明。
 チャッピーの服はこの回からワンピースでなくなり、上下に分かれたデザインのものに変更されている。

第4話 チャッピーのデート

23_6(テレビマガジン 1972年8月号)

 下校する途中でチャッピーは、山田くんから「あしたぼくとデートしてよ」と誘われる。はりきってしたくするチャッピーだが、パパは「人間と デートだなんてわしはゆるさんぞ」と不満、ジュンと一緒に邪魔をすることにした。そして次の日となり……。

*欄外に手書きで「えすえふ~~」と書かれたコマがあり、いかにも吾妻マンガ(?)。第1話で「しずこちゃん」として紹介された少女は今回「しずか」となっている。原作では「しずこ」が正しいみたいなのだが、詳細不明。

第5話 チャッピーのえんそく

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(テレビマガジン 1972年7月号)

 今日は遠足。期待していたチャッピーだったが、到着した目的地の周囲は自動車の行き来が激しく排気ガスだらけ。がまんできなくなったチャッピーは魔法を使い、あたり一面を緑の森に変えてしまう。そして「これだけじゃおもしろくないなー」と考えて……。

*原作ではどうだか分からないのだが、吾妻版チャッピーは魔法で正義を実現するのではなく、むしろ騒動を引き起こしているようだ(それがいかにも子どもらしく、微笑ましいのではあるけれど)。

第6話 ジュンのガールフレンド

25_5(テレビマガジン 1972年10月号)

 チャッピーは帰宅して「おやつおやつ!」と冷蔵庫の扉を開ける。が、中はカラッポ。「またジュンのしわざね」とママに教えられ、チャッピーはジュンの部屋へのりこむ。と、ジュンはミヨちゃんという少女に食事させ「しょうらいけっこんしよう」などと語り合っているのだった。あっけにとられるチャッピーだが、「おやつのうらみ」の仕返しに……。

*弟のジュンはまだ幼いのに、たいそうモテるらしい。まいった。

第7話 チャッピーの父兄さんかん日

26_5(テレビマガジン 1972年11月号)

 チャッピーの教室へパパとジュンが来ている。「おねえちゃんのことだからきっと またばかやるんじゃ…」とジュンが心配していたら、はたしてチャッピーは間違いばかり。しかもパパの親馬鹿ぶりは騒動をなおさら大きくしてしまい……。

*台詞にある「ダニエル・ビダル」(Danièle Vidal)は、当時日本でも人気があったフランスの少女歌手で、たしか彼女による、「透き通ってるってホントかな……ワァ、透き通ってるゥ~」なんて歯磨きのCMがTVで流されていたのがこの頃か。
 「ももくり三年ベタ一年」などとチャッピーは言っているのだが、『テレビマガジン』の読者達にこの冗談は通じたのだろうか???

第8話 チャッピーのけっこん

27_5(テレビマガジン 1972年12月号)

 「チャッピーもとしごろだなあ」とパパが言うや、「そうよすてきなこいだってしたいわ」という返事。「いっそのことけっこんしたら」とママが言い、なんと本当に結婚が取り決められてしまった! チャッピーは嫌がって必死に抵抗するが、「魔法つかいの血すじをまもるためにはおなじ魔法つかいの出身のかれとけっこんするしかないのだ もんくはいわさん!」とパパ。チャッピーはとうとう泣き出して……。

*これが最終回なのだけれど、第1回と同様、原作アニメのそれらとはまるで違う話になっているようだ。TVではレギュラーだったレッサーパンダのドンちゃんは時々登場しているが名前の紹介すらされていない。こういった点からしてやはり、基本設定いがいは吾妻オリジナルになっている作品と考えて良いのではと思う。

第1話 ベイビーと仲間

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(テレビマガジン 1973年1月号)

 「ちきゅうはとってもきれいな星だってきいたぞ あそびにいこう」と、1人でやってきた、ベイビー。ところが実際は公害がひどく騒音とゴミだらけの星だった。驚いたベイビーが、すっかり弱ってしまっている街路樹に話をきいていた所に、「人間どもみなごろしだあ」と怒っているニワトリ(?)のピコピコが現れる。しかし「人間だってみんなわるくないわ こうがいをだしてるのはいちぶの……」と反論する少女、エコロも登場。ベイビーは「みんな力をあわせてちきゅうをきれいにしようよ」と呼びかけ、2人と1羽は友だちになったのだが……。

28_5*『チャキチャキベイビー』について

 主人公の乗る宇宙船(?)が乳酸菌飲料のプラスチックボトルみたいな形状で「M」と書かれてあったりするので、さてはそうした業種の会社がスポンサーのアニメか? と思ったのだけれど、一説によればこれは、雑誌『テレビマガジン』に連載されていたオリジナル(TV番組のコミック化ではない)マンガだったらしい。だから"原作"のアニメとかは存在しないものと思われるが、正確な事は分からない。著作権の表示に『日本動画』とあるが、この会社は『星の子ポロン』(1974年4月1日~1975年4月4日)や『ガンとゴン』(1974年4月5日~1975年8月13日)などのTVアニメ作品を世に送り出しているようだ。これらは1回5分の短いお話で、"帯番組"として毎週月~金に放送されていたらしい。単行本には「原作・西田明日美」「グッドウイル」という文言も明記されている(画像参照)のだが詳細不明。なおこのイラストに描かれているベイビーのポーズは、チャールズ・M・シュルツ(Charles Monroe Schulz)によるピーナッツ(Peanuts)シリーズに登場するライナス(Linus Van Pelt)のそれ(毛布を放さず指をくわえている)のパロディか。

第2話 クサクサガイガー

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(テレビマガジン 1973年2月号)

 「まず みぢかなところからきれいにしなくちゃ」と、ベイビーは一所懸命に町のゴミを拾う。それを見た「ごみかいじゅうクサクサガイガー」は、「そんなことやってたら せかいじゅうをきれいにするには百年かかるぞ」とバカにする。そこへエコロとピコピコがやって来て、「においのもとをみつけたよ」と言う。行って見るとそこは、ゴミとスモッグを出しまくっている工場だったのだが。

*主人公であるベイビーはペンダントを首からさげているが、これは笛のような構造になっているらしく、今回は以下の機能のある事が明らかにされている。
(1)憑依(ひょうい)している「ガイガー」たちを人間から分離し、その姿が見えるようにする
(2)ベイビーの愛機「メルヘン号」を呼び寄せる(こうした性能から考えると、この小型宇宙船(?)はロボットのようにある程度の意思を持って作動するのかも知れない?)
(注:以下、結末に言及しています)
 主人公ベイビーたちはガイガーとの戦いに勝つのだが、問題の解決とはならず、苦い勝利に終わっている。彼らの闘いの困難さは、続く第3話でも語られるところとなる。

(付記:講談社テレビマガジン 1973年2月号の現物を調べることができたのだが、そこで見ると、『仮面ライダー』・『変身忍者嵐』・『バビル2世』・『レインボーマン』・『デビルマン』の各作品については「毎週*曜日午後*時から*で放送中」といった情報がハシラに記載されている。また『ハゼドン』(まんが/板井れんたろう)はトビラ上部に「ゆかいな ゆかいな テレビまんが」という文言が読める。しかし『チャキチャキベイビー』にはこれらと同様の文言が付記されてはおらず、やはり雑誌オリジナルの作品だったらしい? 同じ号に収録されている『電人X(エックス)マン』(まんが/桑田次郎)・『スーパータロム』(まんが/新宅よしみつ)にも、テレビうんぬんの文言は無いようだ。)

第3話 えいぎょうぼうがい

31_5(テレビマガジン 1973年3月号)

 「よごれきってる ちきゅうはどくとばいきんだらけだ」と嘆くベイビー。エコロは「ベイビーったらこのごろへんね」と気づき、「しんけいしつになってるんだ」ピコピコも心配する。そしてとうとうベイビーは単独で行動を開始したのだったが。

*トビラの絵は若い人たちには通じないかも知れないのだが、「行水(ぎょうずい)」という日本古来の簡易入浴法である。
(注:以下、結末に言及しています)
 これが最終回のようだ。しかし敵である悪、ガイガーたちとの決着はまだついていない。それどころか今回、彼らは全く出現していない(!)のである。では主人公の「敵」は何だったかと言えば、"人類"なのだった。
 僕らの生きる現代社会は、さまざまな工業無しではやってゆけない。それがときにおびただしい汚染と公害をもたらすとは分かっていても、悲しいかな僕らにはそれを皆無に近づける程の科学力をまだ持ってはいない。
 主人公ベイビーたちは、最初から勝ち目の無い戦いを挑んでいたのだろう。そのあげく、とうとうこの最終回では道化にされ"民衆の敵"となってしまって、皮肉な苦い笑いのうちに物語の幕がおりている。
 とはいえ、環境破壊を食い止めようと立ち上がった主人公たちの行動はやはり正しかったと思う。たとえ勝てず、終わることの無い戦いだったとしても、「よくやった、えらかったね」と彼らをほめてやれるエピソードがほしかった(この物語に没入して読んでいた子どもたちのためにも)。お説教臭いマンガになってしまってもいけないのだろうけれど……。
 連載が終了した詳細な理由は分からない。内包しているテーマが大変扱いにくいものであっただけに、シリーズを長く続けるのは困難であったろうか。わずか3回だけで終わったのは惜しい。

第1話 ヤマメンにアタック

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(別冊冒険王 映画テレビマガジン 1973年11月号)

 緑の野山に囲まれた山村「ジャンジャン天国」に住んでいるナマズン。「ぐーたらしてないでなにかしなさい!」とかあちゃんに叱られ、家から外へ出かけた。すると美女(?)ヤマメンと出会って……。

*主人公のかぶっている帽子にはブザーが取り付けてあり、母親が呼び出しにと鳴らすらしい(いきなりこれをやられたため、2ページ目にしてさっそくナマズンは、汲み取り便所の中へドボンと落ちてしまっている……)。「と…にっきにはかいておこう!」という台詞は当時放送していたのど飴CMのパロディらしい。

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『ナマズン』について

 この作品は一説によれば、制作はされたもののTV放映には至らなかったらしい。しかし主題歌(大杉久美子が歌う『おひげのナマズン』と『愛のマーメイド』)はレコードが発売されたようで(1974年3月25日、東宝、DT-1015)、そのジャケットの写真を見ると主人公であるナマズンの他にマドンナ役のヤマメンや恋敵のマス三世も描かれており、どうやらこの『おひげのナマズン』というアニメのコミック化が本作品であるようだ。ジャケットには著作権表示に"ビデオクリエイト"の文言が読める。
 よく似た雰囲気のTVアニメに『ハゼドン』(1972年10月5日~1973年3月29日)という作品があるので、気になって調べてみた。するとこの『ハゼドン』が"ビデオクリエイト"の原作だと分かった(制作は創映社=現在のサンライズ)。真相は分からないが、『ハゼドン』の後継番組として企画されたのが『おひげのナマズン』だったのだろうか?

第2話 ナマズンのとりえ

33_5(別冊冒険王 映画テレビマガジン 1973年12月号)

 色男(?)マス三世のところでクリスマスパーティがあり、ナマズンは会場へと向う。しかし憧れのヤマメンに「いいとこみせなきゃ」と緊張したナマズンは、どうにも失敗ばかり。そんな彼にマス三世の妹であるニジ子が声をかけてくれたのだったが。

*今回、サブタイトルどおりに主人公の「とりえ」が明らかになっている。

第3話 ドライブ騒動

34_5(別冊冒険王 映画テレビマガジン 1974年1月号)

 「ドライブしたいなーだれかさそってくれないかしら?」とヤマメンが独り言。これを聞いたナマズンは「しめた! ヤマメンをくどくチャンスだぞ」と、自動車を買いに走る。が、売り場にはマス三世が先に来ており、高級車を買ってヤマメンのもとへと去った。大慌てするナマズンだが、いかんせんカネが無くて……。

*電気自動車(日本では1970年、大阪での万国博覧会あたりから使われているようだ)など、現実の科学技術がちょこっと登場しているあたり、SFな吾妻マンガらしいというべきか?

第4話 世紀の決とう

35_4(別冊冒険王 映画テレビマガジン 1974年2月号?)

 カメラを買ってもらったナマズン。「これでヤマメンの美しい顔とボクのハンサムな顔がならんでるところをとろう」と考えたナマズンは、ヤマメンの家へ行く。ところが折悪しくナマズンは、ヤマメンが入浴中のところへ入ってしまい、シャッターをきってしまった……。

*これが最終回だが、トビラに「ポルノ虫」らしきもの(『ふたりと5人』では見られる頭部の触角が無い)が登場しており、その予兆にたがわずえっちい場面がある回なのだった。しかしオチの奇策が笑えて、楽しい幕切れとなっている。「サヨナラ サヨナラ」という台詞は映画解説で御馴染み淀川長治の言葉(1970年代前半に流行語となった)をパロディにしているものと思われる。

第1話 死の応援団

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(プリンセス 1977年4月号)

 野球部の試合がせまっている。しかし応援団員たちは「どーせ応援したって出ると負け」と、てんでやる気なし。そこへ先生から「女の子入部させてチアガールにさせたらどうだろう」という案が出た。団長の吾妻くんは中学一番の美少女である純子をメンバーとするのに成功。しかしラブが「必ず全校生徒の目をクギづけにしてみせる」とノリ気になって……。

『おしゃべりラブ』は単行本も2巻まで出ているのだが、それでも全話が収録されてはいないため、別の複数の単行本に分散しておさめられているようだ。ここでは4話ぶんが読める。単行本の出版社が異なる(秋田書店→徳間書店)ゆえか、冒頭にはこれまでのあらすじが説明されている。なぜこの単行本で『おしゃべりラブ』が収録されたのか理由は分からない。メインとなる『魔法使いチャッピー』が女児向け作品であったためだろうか?

第2話 道ならぬ恋

37_3(プリンセス 1977年6月号)

 「新任の森田です 英語を担当することになってます」と先生が挨拶。しかし独身でないと分かるや女子生徒たちは全員教室から出てゆき、年ごろの妹がいないと分かるや今度は男子生徒たちが全員教室から出て行ってしまった。森田先生がヤケになりかけたら、ラブがただ1人教室に残っていた。「ラブちゃんきみはいい生徒だ」と先生は喜ぶ。しかしそれは彼の不幸の始まりだった……。

*ラブは自分で「出席番号13」だと言っている。これが本当だとするといささか謎もある。当時は学校のクラス名簿というと、先に男子の全員、次に女子の全員という順序で通し番号がふられるのが普通だったと思われる(これはあらかじめ男女を分けてあるため健康診断などでは便利だったかも知れないのだが、男優先の性差別のなごりとして後に再検討されてゆくようだ)。よって"白詰草ラブ"が13番とするとクラスの男子は10名未満なのだろうかと思えてくる。そこで考えられるのは、この中学では男子と女子それぞれに1番から始まる番号を割り当てているか、もしくは男女混合の名簿を作成しそれに五十音順での通し番号を付しているか、いずれかなのではないかという事になる。システムとしては後者のほうが性差別を含まず平等になるであろうとされ、採用実施している例もあるようで、こちらと考えるのが無難か。

第3話 あたしもスター

38_3(プリンセス 1977年7月号)

 「うちへ来て明日のスターをめざしてみない?」と、校門の前でスカウトしている男がいた。声をかけられた女生徒はあっさり断って去るが、男はそこへ通りかかったラブにも声をかける。ラブは「ついに来た アタシにもチャンスが!」と大はりきりでこれにとびつく。しかしラブの歌唱力はおよそ絶望的で……。

*ラブが冒頭で歌っているのはビューティーペア『かけめぐる青春』の替え歌らしい。「デンセンに」というのは『デンセンマンの電線音頭』か。"アズマ音学学院"("音楽"ではなくこういう看板になっている)の先生はラブが通っている中学の先生と同一人物ではと思えるのだが、ひよっとして放課後にこちらでアルバイトとして教えているのだろうか?
 オチに関して巧妙な伏線がある回(読めば分かります)。

第4話 あこがれのハワイ航路

39_3(プリンセス 1977年8月号)

 明日からいよいよ夏休み。これといった予定は無かったらしいラブだが、級友たちへの対抗心からかハワイ旅行を決意する。しかし旅費は無い。かくてアルバイトをしカネをつくろうという事になり……。

*「アグネス・ラム」(Agnes Nalani Lum)というのはハワイ出身のモデルで、この当時大変な人気があった女性。この頃まだバーコードは普及しておらず、レジでは品物の価格を1つずつテンキーで入力し計算していたようだ。

(『魔法使いチャッピー 吾妻ひでおテレビ・アニメ傑作選②』は、ここで終わっている。)

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